せっかく一部屋という狭い狭い風呂敷で物語を完結させようとしたくせに
やっぱりエターなる呪いからは逃れませんでした。てへぺろ。
なので今度はアンドロメダ銀河まで風呂敷を広げてやりましょう!うぇい!
完結させる気などもはやない!成り行き小説第二弾!
始まり始まり!
小さな金属製の筒の中、人型兵器UWP-9800 No.771387は静かに時を待っていた。
と言っても、人型兵器というのは少々語弊があるだろう。
彼女には本物の紅い血が流れており、胸にはポンプがとくとくと脈を打っている。
身長は163cm 体重は54kg 好きな食べ物はチョコレート。趣味は読書。
一つだけ違うのは、その脳にある部分に鎮座しているのは高度なAIである。
人型兵器UWP-9800は人類による、人類の為、人類に最も似せて設計された人型兵器だった。
カウン、と小さくエンジンのような起動音が冷たく響いた。
たまには自分の出生に思いを馳せるのも悪くなかった、と思うことにした。
最も、それは自分に課せられた任務についての内容があってこその事だが。
意識が消える寸前に、アンドロメダ銀河の基地で研究者のカワサキに言われた言葉を思い出した。
「そうだ、もし私の祖先に会ったら言っておいてほしい事があるんだ。それは…」
気づくと、俺はアパートに併設されたゴミ捨て場の中で目を覚ました。
一体どういう事か、と額の汗を拭おうと手を頭にかざすと、頭に激痛が走る。
そうだった、俺は昨夜なぜか酒を飲むことになったのだ。慣れない酒など飲むからこうなる。
確か誰かと飲みに行くことになってしまい…
そんなことを考えていると、懐から携帯電話がジリジリと音を立てて震えた。
「ああ、はいどちら様ですか」
「ふぅ、やっと繋がったようだね。」
画面の先からは少々しゃがれた声が流れてくる。初老の老人と言ったところだろうか。
「今すぐ研究所へ来てくれ。君にならぴったりの仕事がある。報酬も弾むが…」
「え?研究所?報酬?突然すぎてちょっと訳が…」
思わず会話を遮って悲鳴のような返事を上げた。
「研究所の事なら昨日話しただろう?名刺だって渡したはずだ。」
何のことかと懐をまさぐったところ名刺が出てきた。研究所の住所も書いてある。
「いやぁ、昨日の君の話は本当に面白かったよ。君がフリーターだなんてもったいない。」
「是非我が社に欲しい人材なんだ。」
話し続ける男の声でやっと思い出した。昨夜一緒に飲まされた犯人は紛れも無くこいつである。
「判りました、今すぐ伺いますので。」
どんな顔か一度拝んでやらないと気が済まないし、ひょっとしたら職にありつけるかもしれない。
どっちに転んでも俺には利点しかないじゃないか。
電話を切ると、薄汚れた画面に電話料金がでかでかと表示された。